2025/01/17
犬や猫に見られる排尿トラブルは、飼い主様にとって見逃せない重要な健康サインです。排尿の状態は、犬や猫の体調を知る上で非常に重要な役割を果たします。尿は体の状態を映す「鏡」と呼ばれ、日々の健康管理において見逃してはならない観察ポイントです。
しかし、血尿や頻尿、尿が出ないといった症状を放置すると、病気が進行し治療が困難になるだけでなく、場合によっては命に関わることもあります。そのため、排尿トラブルの早期発見と適切な対処は、犬や猫の健康を守るために不可欠です。
今回は犬や猫の排尿トラブルについて、症状や原因、それに伴う病気、自宅での対応や動物病院での治療方法などを詳しく解説します。
■目次
1.犬や猫の代表的な排尿トラブルとは?
2.尿が出ない場合に考えられる原因
3.血尿が見られる場合の原因疾患
4.頻尿が続く場合に考えられる病気
5.動物病院での検査・治療について
6.まとめ
犬や猫の代表的な排尿トラブルとは?
犬や猫の排尿トラブルとして代表的なのは、「尿が出ない」「血尿」「頻尿」の3つの症状です。これらは飼い主様でも比較的気付きやすい症状であり、早期対応が重要となります。
尿が出ない場合には、トイレの体勢をとっているのに排尿できない、あるいは排尿時に痛そうに鳴くといった様子が見られます。この症状は尿路結石や尿道閉塞が原因であることが多く、特に猫は命に関わるケースが少なくありません。
血尿の場合、尿に鮮血が混じることもあれば、オレンジ色や茶色に変色することもあります。血尿が見られる際は、膀胱炎や尿路結石、腫瘍などの可能性を考慮する必要があります。
頻尿はトイレの回数が増える症状ですが、一度の排尿量が少ない場合は膀胱炎の可能性が考えられます。また、糖尿病などが原因となっている場合は、多飲多尿が併発することがあります。
尿が出ない場合に考えられる原因
排尿ができない状態は、緊急性が非常に高い症状の一つです。その主な原因として、尿路結石や尿道閉塞が挙げられます。これらの状態では、尿が体外に排出されないため、本来尿と一緒に排出されるべき毒素が体内に溜まり、急性腎不全などの命に関わる問題を引き起こす可能性があります。
特に猫は、尿道が細いオスの猫に多く見られる症状です。また、高齢の犬や猫ほど発症リスクが高くなるため注意が必要です。トイレに何度も行くのに排尿できていない、またはトイレの際に痛みを訴える鳴き声を出している場合は、すぐに動物病院を受診してください。
血尿が見られる場合の原因疾患
血尿は膀胱炎、尿路結石、腫瘍などが原因であることが多く、症状の程度によって緊急性が異なります。膀胱炎は細菌感染などによって引き起こされ、尿に血が混じるほか、排尿時に痛みが伴うことがあります。尿路結石の場合、結石が尿道を傷つけることで出血し、血尿が発生します。この状態が放置されると腎臓にダメージを与えることもあるため、注意が必要です。
腫瘍が原因の場合、腎臓や膀胱など尿路にできた腫瘍が出血を引き起こします。鮮血が見られる場合は特に緊急性が高く、即座に動物病院を受診することが重要です。血尿がオレンジや茶色の場合でも、膀胱や尿路の異常を示している可能性があるため、早期に診察を受けましょう。腫瘍や結石が進行すると治療が困難になるため、日頃からの観察と早期対応が鍵となります。
頻尿が続く場合に考えられる病気
頻尿は膀胱炎や糖尿病などが原因となることが多く、高齢の犬や猫に特に多く見られる症状です。膀胱炎は頻尿だけでなく、尿に痛みを伴うことがあり、トイレ以外の場所で排尿してしまうこともあります。また、膀胱炎は再発しやすいため、過去に膀胱炎を経験した犬や猫では、類似の症状が見られた場合に再発を疑う必要があります。
一方で、糖尿病が原因の場合は頻尿に加え、多飲、体重の急激な変化(増加または減少)、食欲の変化が見られます。肥満傾向の犬や猫は糖尿病になりやすいことが知られているため、体重管理にも気を配りましょう。
特に高齢の犬や猫は、これらの症状が現れやすいため、日頃から排尿や飲水量を観察し、異常があれば早めに動物病院に相談してください。
動物病院での検査・治療について
動物病院では、排尿トラブルの原因を特定するために、尿検査、血液検査、超音波検査などが行われます。尿検査と血液検査により、腎臓の機能や全身の状態を確認します。また、超音波検査を用いて膀胱や尿道、腎臓の状態を詳細に観察し、結石や腫瘍の有無を調べることができます。
治療は症状や原因によって異なりますが、尿路結石の場合はカテーテルで尿を排出する処置や、結石を溶かすための療法食が処方されることがあります。膀胱炎では抗生物質の投与が行われ、糖尿病の場合は食事療法やインスリン治療が必要になることがあります。
また、飼い主様が自己判断で対応することは非常に危険です。症状を放置すると、症状が進行し治療が困難になるだけでなく、犬や猫の命を危険にさらす可能性があります。そのため、早期発見・早期治療が何よりも大切であり、些細な変化でも動物病院に相談することを心掛けましょう。
まとめ
犬や猫の排尿トラブルは、飼い主様の早期発見と適切な対応が愛犬や愛猫の健康を守るための重要な鍵となります。血尿や頻尿、尿が出ないなどの症状を見逃さず、異変に気付いたらすぐに動物病院を受診してください。尿は体の状態を反映する「鏡」であり、日頃から健康な排尿状態を観察することで、異常をいち早く発見することができます。
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