2025/01/30
犬や猫が咳をしたり、息苦しそうにしたりしている様子を目にすると、飼い主様としては不安になることでしょう。
こうした呼吸器症状は、時に命に関わる状態を示すことがあります。しかし、犬や猫の呼吸の異常は一見するとわかりづらく、見逃されやすいのが現実です。
そのため、飼い主様が日常的に愛犬や愛猫の様子を観察し、小さな変化にも気づくことが重要です。特に、呼吸が苦しそうに見える場合は早期の治療開始が鍵となります。
今回は犬や猫の咳や呼吸の異常について、考えられる原因や緊急性を判断するポイントなどを解説します。
■目次
1.咳の種類と見分け方
2.呼吸が苦しそうな時のサイン
3.心臓が原因の場合
4.気管支系の病気の場合
5.その他の原因疾患について
6.緊急性の判断と受診のタイミング
7.まとめ
咳の種類と見分け方
犬や猫の咳には主に「乾いた咳」と「湿った咳」の2種類があります。それぞれの特徴を知ることで、原因をある程度推測する手助けとなります。
<乾いた咳>
喉や気管が刺激を受けた際に発生することが多く、「カラカラ」「ケホケホ」といった音が特徴です。気管虚脱やアレルギー、気管支炎などで見られることがあります。
<湿った咳>
肺や気管支に液体(痰や分泌物)が溜まっている場合に起こり、「ゴホゴホ」「ゲホゲホ」という音が特徴です。このタイプの咳は肺炎や気管支炎、心臓病が関与している可能性があります。
また、咳が起こる時間帯や状況も重要な観察ポイントです。例えば、夜間や運動後に咳が悪化する場合は、心臓に負担がかかっている可能性があります。さらに、咳と吐き気を見分けることも大切です。咳は喉や胸から音が出るのに対し、吐き気は腹部の動きが伴います。
これらを見極めるのが難しい場合は、迷わず動物病院での診断を受けるようにしましょう。
呼吸が苦しそうな時のサイン
犬や猫が呼吸困難に陥ると、いくつかのわかりやすいサインが現れます。その中でも特に注意すべきなのは、以下の症状です。・呼吸が非常に速く浅い
・お腹を大きく動かす腹式呼吸
・口を開けてハアハアと呼吸する開口呼吸
・舌や歯茎の色が青紫色(チアノーゼ)
これらの症状は、呼吸器系や循環器系に深刻な問題が生じている可能性が高く、早めに動物病院へ連れて行く必要があります。
また、普段とは異なる姿勢も危険なサインである場合があります。例えば、伏せることができずに座ったままの状態が続く場合や、背中を丸めたまま動かない場合は、呼吸が非常に苦しいことを示している可能性があります。このような場合は、速やかな対応が求められます。
心臓が原因の場合
心臓病は、特に高齢犬や特定の犬種で発症しやすい疾患です。この病気が原因で咳や呼吸困難が引き起こされることが多く、初期段階では運動後や夜間に症状が現れやすい傾向にあります。心臓病特有の症状には、咳が長引く、呼吸が速くなる、疲れやすくなるといったものがあります。進行すると、腹部が膨らむ(腹水)、脚がむくむなどの症状が現れることもあります。特に注意すべき犬種として、チワワやキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどの小型犬が挙げられます。また、高齢犬になると心臓病のリスクが高まるため、定期的な健康診断を欠かさずに受けることが重要です。心臓病が疑われる場合は、早めに動物病院で診断を受け、必要に応じて治療を開始しましょう。
気管支系の病気の場合
気管虚脱や気管支炎などの病気も、犬や猫が咳や呼吸困難を起こす主な原因となります。気管虚脱は特に小型犬で多く見られる疾患で、気管がつぶれてしまうため、乾いた咳が特徴です。ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、チワワなどが発症しやすい犬種として知られています。一方で、気管支炎は気管支の炎症によって引き起こされ、湿った咳が見られることが多いです。これらの病気は季節の変わり目や寒い時期に症状が悪化することがあります。そのため、寒い時期には適切な温度管理を行い、犬や猫の体調を守ることが大切です。
その他の原因疾患について
犬や猫が咳や呼吸困難を起こす原因は、心臓や気管支だけではありません。例えば、猫喘息や肺炎なども考えられる疾患です。<猫喘息>
アレルギー反応によって気管支が炎症を起こす病気で、発作的な咳や呼吸困難が特徴です。
<肺炎>
感染症が原因で引き起こされることが多く、高熱や元気消失、食欲不振を伴う場合があります。
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愛犬や愛猫が元気をなくした時に考えられる原因と対処法についてはこちらから
また、タバコの煙やハウスダスト、香水などの環境要因も、犬や猫の呼吸器症状を悪化させる原因となることがあります。特に室内飼育の場合、これらの要因を排除することが、犬や猫の健康を守る上で非常に重要です。
緊急性の判断と受診のタイミング
犬や猫が以下のような症状を示した場合は、早急に動物病院を受診してください。・呼吸が非常に速い
・舌や歯茎が青紫色になっている
・伏せることができず座り込んだまま動けない
一方で、軽い咳が数日続くものの、食欲や元気が保たれている場合は、様子を見ても良いことがあります。しかし、症状が改善しない場合や悪化する兆候が見られた場合は、できるだけ早めに受診することをお勧めします。
まとめ
犬や猫の咳や呼吸困難は、命に関わる可能性がある重要な症状です。飼い主様としては、日頃から愛犬や愛猫の状態をよく観察し、異常があれば早めに動物病院に相談することが重要です。また、心臓病や気管支疾患のリスクが高い犬種や高齢の犬や猫に対しては、定期的な健康診断を通じて病気を早期発見することが大切です。
愛犬や愛猫の健康を守るためにも、日常のケアや予防に努めていきましょう。
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