愛犬の「助けを求めるサイン」を見逃さないで！犬の異常行動を獣医師が徹底解説 - 小山レリーフ動物病院｜栃木県小山市城東で診療を行う動物病院

犬は言葉を話せない代わりに、行動や態度を通じて飼い主様にさまざまなサインを送っています。その中には、一見すると「問題行動」と思われがちなものもありますが、実は「助けを求めるサイン」であることが少なくありません。これらのサインを見逃してしまうと、犬が抱える不安やストレスが悪化し、さらには健康問題に発展する可能性もあります。

特に、「分離不安」「老犬の夜泣き」「認知症」は、多くの飼い主様が直面しやすい問題です。適切な知識を持ち、早めに対応することで、犬の心と体の負担を軽減できます。

今回は犬の異常行動の原因や対処法について、獣医師の視点から詳しく解説します。

■目次
1.分離不安への対処法
2.老犬の夜泣き対策
3.老犬の認知症について
4.まとめ

分離不安への対処法

分離不安とは、飼い主様と離れることによって強い不安を感じ、それが問題行動として現れる状態を指します。犬は本来、群れで行動する動物であるため、長時間の単独行動にストレスを感じることがあります。分離不安の主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。


・飼い主様が外出する際に過剰に吠え続ける
・一人になると家具やドアを噛むなどの破壊行動をする
・トイレの失敗が増える
・食欲が低下する


■年齢別の特徴
分離不安の発症には、年齢によって異なる要因が関係しています。


＜子犬の場合＞
社会化不足が原因となることが多く、幼い頃から一人でいる時間に慣れていないと、成長してからも不安を感じやすくなります。


＜成犬の場合＞
引っ越しや飼い主様の生活環境の変化、家族構成の変化などがきっかけで発症することがあります。


＜高齢犬の場合＞
認知機能の低下や体調の変化が影響し、以前は問題なかった留守番が突然苦手になることがあります。


■予防と改善のためのトレーニング方法
分離不安の予防と改善には、段階的なトレーニングが重要です。


・短時間の留守番から始め、徐々に時間を延ばしていく
・外出時や帰宅時に過剰な挨拶をしない（興奮を助長しないため）
・一人でいる時間に楽しいおもちゃや知育玩具を与える（ポジティブな経験を増やす）


また、留守番時の環境を整えることで犬の不安を軽減できます。例えば、飼い主様のにおいがついたタオルを置いたり、落ち着ける場所を作ったりすることが効果的です。


■獣医師に相談すべきケース
軽度の分離不安であれば、トレーニングで改善することが多いですが、症状が深刻な場合は獣医師や行動学の専門家に相談しましょう。例えば、「留守番中に自傷行為をする」「過剰な吠えが続き、近隣トラブルになる」などの場合は、専門的な治療やカウンセリングが必要になることもあります。

老犬の夜泣き対策

老犬が夜泣きをする原因には、大きく分けて身体的要因と心理的要因があります。


＜身体的要因＞
関節炎や内臓疾患、視力や聴力の低下が関係し、環境の変化に敏感になることで夜間に不安を感じることがあります。


＜心理的要因＞
認知症の進行や飼い主様との分離不安が影響し、不安や混乱が原因で夜間に鳴き続けることがあります。


また、犬は加齢とともに睡眠パターンが変化します。若い頃に比べて深い眠りが減り、ちょっとした音や光の変化で目を覚ましやすくなるため、夜泣きにつながることがあります。


■環境整備のポイント
老犬の夜泣きを軽減するためには、環境を見直すことが大切です。


・静かで安心できる寝床を用意する
・寝る前に軽い散歩やマッサージを行う（リラックス効果がある）
・夜間の照明を工夫する（暗すぎると不安を感じる犬もいるため、ほんのり明るい環境を作る）


夜泣きが続く場合、痛みや病気が隠れている可能性もあります。特に、「活動量が急に減った」「食欲が落ちた」などの変化が見られる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。

老犬の認知症について

老犬の認知症は、早期に発見し適切なケアを行うことが重要です。以下のような症状が見られる場合、認知症の可能性があります。



■認知症の進行度合いと特徴
認知症は進行度に応じて3つの段階に分けられます。


＜初期＞
この段階では物忘れが目立ち始めますが、日常生活に大きな支障はありません。具体的な症状としては、以下が見られます。


・よく知っている場所で迷子になる
・飼い主様の指示に従うのが遅くなる
・遊びや散歩への興味が薄れる


＜中期＞
中期になると、より顕著な症状が現れます。昼夜逆転や徘徊が見られ、飼い主様の指示に従わなくなることも増えます。具体的には、以下の行動が見られます。


・夜中に突然吠え出す（夜鳴き）
・同じ場所をぐるぐる回り続ける
・トイレの失敗が頻繁になる
・飼い主様や他の動物に対して無関心になる


＜後期＞
後期になると、自力での食事や排泄が難しくなり、日常生活に大きな支障をきたします。具体的な症状としては、以下が見られます。


・食事を摂ることを忘れる
・排泄のコントロールができなくなる
・飼い主様を認識できなくなる
・ほとんど動かなくなり、寝たきりになる


■日常生活でできる認知症のケア方法
日常生活でできるケア方法としては、以下のようなものを試してみましょう。


・生活リズムを整え、毎日同じ時間に食事や散歩をする
・脳を刺激する遊びやおもちゃを活用する
・栄養バランスを見直し、抗酸化作用のある食品を取り入れる


また、認知症の進行を遅らせるための薬やサプリメントが存在します。動物病院で相談し、適切な治療を検討しましょう。

まとめ

犬の異常行動は、単なる「問題行動」ではなく「助けを求めるサイン」であることが多いです。分離不安や老犬の夜泣き、認知症などの症状に対して正しい理解を持ち、適切に対処することで、犬の生活の質を向上させることができます。


気になる症状がある場合は、自己判断せず、獣医師に相談することが大切です。


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